オーガニック フルボ酸が商品化されるまで 酸化還元の力
JGS会員専用facebookページの記事より 2014年10月10日の記事 投稿者 LD入江
この記事について 2017年3月現在
この記事は、フルボ酸と出会って間もないころの記事です。当初は、2価鉄に注目していたので記事中に2価鉄という言葉が多く出てきます。しかし、閉鎖された水槽環境で自然界が示す2価鉄の濃度を維持することは困難であると判断して2価鉄の濃度を追うことは中止しました。この2価鉄濃度という人間が知る情報の一つだけを同レベルにしても水槽の水はアマゾン川の水と同レベルにはならないからです。でも2価鉄は重要な物質だと考えています。この重要な物質と我々はどのように付き合っていくか?を模索するのは面白いかもしれません。
LD入江 2017年3月
実験方法
バックヤードの飼育水1リットルにフルボ酸鉄を2cc入れて24時間後に水質を測定した。
試験水A(バックヤードのディスカス飼育水)
No3(硝酸) 200mg/L
全硬度 150mg/L(ドイツ硬度8.4°dH)
カルシウム 125mg/L以上
マグネシウム 41mg/L
PH 5.5
導電率 500μS(マイクロジーメンス)(250ppm)
2価鉄 0mg/L
鉄 0mg/L
リン酸 10mg/L
試験水B(試験水Aにフルボ酸鉄2cc/Lを添加して24時間後)
No3(硝酸) 90mg/L
全硬度 100mg/L(ドイツ硬度5.6°dH)
カルシウム125mg/L以上
マグネシウム 測定なし
PH 測定なし
導電率 530μS(マイクロジーメンス)(265ppm)
2価鉄 1.5mg/L
鉄 1mg/L
リン酸 0mg/L
結果
導電率は、フルボ酸鉄を入れた時点で上昇しており、上昇した30μSはフルボ酸鉄のミネラル成分と思われる。
注目すべき点は、硝酸塩の減少及びリン酸塩の減少です。給餌によって、日々蓄積するこれら酸化物質は、水換で除去しています。硝酸塩とリン酸塩については、フルボ酸の添加により除去方法が変わる可能性がある。
酸化物質の減少に伴い、全硬度も軟水化している。これは、酸化物質とフルボ酸の鉄とが結びつく際にカルシウムを利用しているものと思われます。リン酸鉄+カルシウムや硝酸鉄+カルシウム(化学式は分かりません)のようなイオン形態だと推測されます。
リン酸と鉄が結びつくことで沈殿するので、最終物質は水換えで取り除く必要があると考えます。しかし、アンモニアや亜硝酸、硝酸塩は水中に存在するから危険なのではなく、鰓など(体表も含まれると思います)から魚が体内に取り込んで中毒などを起こすことが問題であり、沈殿する大きさの物質は、その危険性は少ないと思われます。
現在の利用
フルボ酸鉄は、硝酸塩やリン酸塩などを鉄とカルシウムによって、除去できることが分かりました。同時に硬度も軟水化します。アマゾン川のように酸化物質の少ない、そして軟水の飼育環境が維持できそうです。フルボ酸は、必須ミネラルを含む豊富な微量元素を豊富に含んでいます。酸化物質の除去に役立ちますが、最も重要なのはこの微量元素の補給だと考えます。今までは、ディスカスエッセンシャルやバイオケアを使用してきましたが、それに替わる、もしくはそれ以上のミネラル添加材になると考えています。
定めたフルボ酸濃度は、鉄で測定できます。鉄は消費されますので、消費された分を補給して濃度を保つことになります。カルシウムも消費されますが、これはイージーコントロールが補給します。今回の実験では、それぞれの項目は高濃度な飼育水でした。これが水換え後など低い数値からスタートすれば、早期に硝酸塩ゼロ、リン酸塩ゼロという水質になり、維持も容易だと考えます。
将来の利用
従来は、アマゾン川のように低い導電率で飼育することは魚の調子を崩すので、難しいとされていました。R/Oなどを使った場合、とりあえず安全な値のするということで、この安全な値も勘や経験で定めていたので、根拠はありませんでした。
しかし、これからはカルシウムがなぜ飼育水に必要なのか?という疑問に対して、酸化物質を除去するため!という回答になれば、必要なカルシウム量を酸化物質の除去量で指数を設けることができるでしょう。その時には、現在のイージーコントロールが、形を変えるかもしれません。そうなれば、当然、PHを維持するという目的から酸化物質を除去する目的に変っていることでしょう。
導電率30マイクロジーメンス、GH1以下、KH1以下、硝酸塩0、リン酸塩0という水槽環境が維持できる時代が来るかもしれません。
今回は、1ppmを基準に実験しようと思いました。しかし0.1ppmやそれ以下という指数もあるようです。どの値が正しいのかは、何処を目指すかによって異なります。アマゾン川はフルボ酸鉄が豊富にあることは確かです。生体での実験はこれからですが、危険と判断されれば、濃度を薄くするなど指数を模索します。しかし、危険と判断されるような結果は出ないと思います。「死んでしまう」「調子を崩す」など、短時間で変化することは、即判断できます。それ以外の変化は、良し悪しの判断は難しいでしょう。危険という判断にならなければ、皆さん(有志)に試験をお願いすることになります。