オーガニック フルボ酸が商品化されるまで 雑学1
JGS会員専用facebookページの記事より
2015年2月
(1)ディスカスの飼育水
水槽でディスカスを飼育する場合は、水道水を使います。R/Oを使う場合でも原水は水道水であり、ほとんどのミネラルを除去したものです。
そこで水道水の成分について考えたいと思います。
水道水は、東京は多摩川の水。埼玉は荒川の水を処理しています。沈殿や生物ろ過、凝集などで、透明な水になり、最後にバクテリアを死滅させて作られます。
我々は、その水道水に塩素中和剤と粘膜保護剤を入れて、微量元素としてバイオケアを入れたものを飼育水の基本としています。時にはブラックピートを入れるくらいですね。
さて、最善の水として作られた飼育水とアマゾン川の水とは同じでしょうか?大きく違う。まったく別物。
アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、リン酸塩などに気を使いますが、それは閉鎖された水槽環境に発生及び蓄積していくからです。プラスされるものをどのように処理するかを考えてきました。ろ過槽、イージー、吸着剤がそれに当たります。これらは、皆さんもイイ線をいっていると思います。
では、アマゾン川と水道水の違いについて考えたいと思います。
2)アマゾン川と水道水の違い
その前に、水道水の違いについて考えます。荒川水系は導電率が高く、硬度も高いです。多摩川水系は、荒川水系より導電率は低く、硬度も低いです。これは、水源となる川の水質の違いというよりも、水道局の処理方法の違いによるところが大きな違いです。東京は最新技術で処理しています。
導電率や硬度の違いは、それほど気にしなくても良いのでは?と思います。もちろん繁殖になれば影響は少なからず出ますが、飼育では問題はありません。しかし、八王子やあきる野市は、多摩川水系でも上流に位置する町で、ここで飼育するとロイヤル化する率が高いのです。兄弟魚や同産地の同じような表現個体でも、先の町ではロイヤルになり、埼玉はソリッドというくらい差が出たこともありました。ホリゾンタルライン(青いライン)の出方は、水槽内の強者は出やすいのですが、それだけではなく水質によるものではないか?という疑問が生まれたのは何年も前のことです。
アマゾン川は、環境破壊されつつあるといっても世界最大の森林を抱えています。人間による汚染は、ごく一部です。ディスカスが生息している支流や湖は、まだまだ自然がいっぱいです。雨季になれば木々は水没します。陸地だったところも水没します。雨が降って、地面に浸み込み、たっぷりと大地でろ過された雨水は川となり流れていきます。汚染されていない土は、ミネラルの宝庫です。ミネラルといってもカルシウムなどではなく、微量元素です。雨水はたっぷりとミネラル(微量元素)を蓄えて川の水となります。多摩川とアマゾン川。荒川とアマゾン川。導電率を同じにしても水質は大きく異なることを理解できると思います。
ネグロ川は、ブラックウォーターで、導電率とPHが低いことで知られています。アマゾン川のような導電率の水をR/Oで作って飼育すると、ディスカスの調子が悪くなります。低い導電率、軟水の水ということだけではディスカスを健康に飼育することはできません。では、何が違うのか?先に話した微量元素の違いが大きく影響していると思います。30とか50マイクロジーメンスの水で生息しているディスカス。森林を抱えているアマゾンは、日本の河川より多くの必微量元素が含まれています。
(3)フルボ酸に求めるもの
アマゾンには、フミン酸が豊富にあります。フミン酸はアルカリ性で溶解しますが、酸性になると凝固して沈殿します。しかし、フルボ酸は酸性でもアルカリ性でも溶解します。
フルボ酸は、微生物によって分解が繰り返された物質で、その分子は小さく、細胞に取り込まれやすいものです。フルボ酸は、数多くの微量元素と結びついた小さな物質で、生物の活性化となります。ディスカスはもちろんですが、ろ過バクテリアや共存する生物全てにおいて活性化します。
皆さんは、微量元素の補給ということでバイオケアを使っていると思いますが、フルボ酸はそれに替わる添加剤となります。自然界のものなので、バイオケア以上の効果があると思います。濃度については比較は難しいですが、二価鉄だけを見ても勝っています。まずはミネラル添加材として使ってみると良いでしょう。
この他には、酸化還元の力があります。これは、データを取ることで明らかになります。亜硝酸、硝酸塩、リン酸などが除去されるかもしれません。
(4)フルボ酸使用時の注意点
ディスカス、ろ過バクテリア、他微生物が活性化されます。生物が活性化すると酸素を消費します。投入したら(投入前)、エアレーションを強めにしておきましょう。2~3日経ったら徐々に通常エアーに戻してください。
私は、フルボ酸(黒い沈殿物あり)を1500倍でしましたが、エアー量は通常のままです。それでも特に変化はありませんでした。エアーが特に注意しなければならないという危険性はありませんが、念のためです。