フルボ酸による軟水化試験

2014年9月8日
アクアショップes

 

■試験目的 フルボ酸は、水質が酸性になると酸性物質とアルカリ物質を結び付けて還元する働きがある。この働きを利用して飼育水の軟水化を試みた。
■試験場所 アクアショップes
■試験機材 1.水道水(埼玉県朝霞栄町) GH5
2.飼育水(硬水処理) GH11
3.天然フルボ酸(F1)
4.リン酸(75%)
5.総硬度試薬
■試験方法 水1000mlに天然フルボ酸1ml(1000倍希釈)を添加した試験水にリン酸を添加して総硬度、PH、導電率を測定した。

 

■試験結果
試験区A 水道水1000ml PH GH 導電率(μS)
水道水データ 7.1 5 210
試験水(水道水1000ml+フルボ酸1ml) 7.1 5 220
リン酸0.2ml添加 5.7 4 690
リン酸0.5ml添加 5.7 1以下 1100
試験区B 飼育水(硬水処理)1000ml PH GH 導電率(μS)
飼育水データ 6.3 11 510
試験水(飼育水1000ml+フルボ酸1ml) 6.3 10 490
リン酸1ml添加 5.2 1以下 1000

 

■まとめ
観賞魚飼育において、飼育水に蓄積するリン酸などの酸化物質は植物の栄養源となるが、蓄積し過ぎるとコケの発生となるので定期的な水換えによって飼育水から除去しなければならない。又、軟水を好む魚類の場合は、R/O(逆浸透膜)やイオン交換などを用いて軟水処理するケースもあるが、手間がかかる。 実験では、水道水及び飼育水(硬水)にフルボ酸を添加しても総硬度に大きな変化はなかった。しかし、さらにリン酸を添加することによって瞬時に総硬度は1以下に低下した。これはリン酸とカルシウムをフルボ酸が結び付けて還元したことでリン酸カルシウムになったと思われる。 試験区Aでは、フルボ酸添加によって導電率は上昇している。しかし、試験区Bでは、導電率は下降している。これは試験区Aは水道水でリン酸などの酸化物質は低い値であり、還元の働きが行われなかったからである。しかし、試験区Bの飼育水には多分のリン酸などの酸化物質が含まれているために、フルボ酸添加と同時に還元作用が働き、リン酸とカルシウムが結び付くことで導電率が下降したと考えられる。 フルボ酸を用いることによって、リン酸などの酸化物質の蓄積を抑制することでコケの発生を抑え、同時に導電率の上昇も抑制する。これらの働きで飼育水は軟水される。